冬に増えるヒートショックの危険 その予防ポイントは
- 作成:2021/12/12
寒い時期、好みの入浴剤を入れてお風呂で1日の疲れをリセット、という人は少なくないでしょう。しかし、このリラックスタイムが一転、命をおびやかす引き金になることがあります。それがヒートショックです。高齢者に多いと言われていますが、注意をおこたれば、誰にでも起こる可能性があります。
この記事の目安時間は3分です
ヒートショックって何?
晩秋から初冬になると、ヒートショックという言葉をよく耳にするようになります。ヒートショックとは、気温や室温の大幅な変化で血圧が急上昇・急下降することによって、血管や心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすものです。
特に、10度以上の温度差があると危険と言われています。気温と大きく関係しているため、12〜2月にかけて増えていきます(下図参照)。
昔ながらの日本家屋では、浴室やトイレが北側にあったり、浴室の床がタイル張りだったりするので、特に注意が必要です。
また、温泉施設などの露天風呂も室内から屋外に出るため、若い人でも十分な対策が必要になります。
東京都23区における入浴中の事故死
ヒートショックになりやすい人はいる?
ヒートショックは誰の身にも起こる可能性はありますが、特に高齢者や高血圧、糖尿病、動脈硬化や不整脈のある人、肥満の人はリスクが高いと言われます。
また、以下のチェックに当てはまる場合も注意してください。
入浴編
- 65歳以上
- ︎熱い温度のお風呂が好き
- 30分以上湯船に浸かっている
- お酒を飲んだあとでも入浴する
- 脱衣所や浴室に暖房設備がない
トイレ編
- 65歳以上
- 夜中にトイレに起きることがよくある
- 寝室からトイレが遠い
- トイレに暖房設備がない(温便座でない等)
ヒートショックを起こさないために注意すること
ヒートショックは温度差によって起こるものですから、極力、家の中の温度差をなくすことが大切です。しかし、これは理想論であって、現実的に家の中すべてを暖めるというわけにもいきません。そこで、温度差が大きい入浴時のヒートショック対策のポイントについて紹介します。
1.脱衣所を暖めておく
脱衣所もリビングくらいの温度にしておけば、衣類を脱いだときに寒さを感じません。
2.浴室を暖めておく
浴室を暖めておけば、浴槽に入ったときの急激な血圧の変動を抑えられます。浴室の床にマットやスノコを敷くのも有効。
3.お湯の温度は40度くらいに
お湯が熱ければ熱いほど温度差が生じるため、湯加減は40度程度に。
4.入浴前に1杯の水を飲む
浴室内で脱水にならないよう、あらかじめ入浴前に水分補給をしておきます。
5.一声かけてから入浴
一人暮らしでない場合には、入浴する前に一声かけておくと異変が起きても素早く対応してもらえます。
6.入浴時には手足からかけ湯
急にお湯に入ると血圧が急上昇しますから、末端の部分から徐々に暖めていきます。
7.湯船に浸かるのは10分
のぼせてしまっては意味がありません。10分以内には湯船を出ます。
8.ゆっくり立ち上がる
お湯に浸かっているときは血圧が低下しているので、急に立ち上がるとめまい・失神の原因になります。ゆっくりと立ち上がります。
9.飲酒後は入浴を避ける
飲酒をすると血圧が低下。その状態で入浴すると、血圧のアップダウンの変化の幅が大きくなります。加えて飲酒の影響で判断力も通常より低くなっていますから、時間を十分開けてからにします。
10.情報を参考にする
日本気象協会では天気予報のほかに、地域ごとにヒートショック予報を出し、警戒を促しています。参考にするのも一案です。
入浴時に多いヒートショックですが、温度差が原因のため、前項にあげたようにトイレなどでも起こることがあります。特に、夜中にトイレに起きた時などは、家全体が冷えているので注意が必要です。上着をしっかりはおり、靴下を履くなどの対策が重要です。
参考サイト
公益財団法人長寿科学振興財団
一般社団法人日本生活習慣病予防協会
消費者庁
東京消防庁
東京都健康長寿医療センター研究所
社会福祉法人恩賜財団済生会
全国健康保険協会
日本気象協会
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