30代超えたら始めたい「栄養のマネジメント」とは
- 作成:2022/04/24
人生100年時代を生き抜くためには、健康を“資産(アセット)”と捉え、自分で資産管理(アセットマネジメント)していく必要があります。しかし、“健康を管理する”と一口に言っても、一体何を管理すればいいのでしょうか。そこで、今回は“栄養のアセットマネジメント”について、行動変容外来で診療を行う横山啓太郎先生に解説いただきました。
この記事の目安時間は3分です
栄養過多にならないために食事量・食事内容は徐々に変える
食事をする、栄養を摂るということは生きる上で必要不可欠なものです。しかし、この栄養を摂るということに対しては、残念ながら無頓着な人が多いのが事実です。
人は年をとるにつれて、活動量も少なくなり基礎代謝も落ちていきます。十代が頂点となりますから、本来であれば30代に入る頃には食事量も食事内容も、少しずつ変える必要があります。「まだまだ若者に負けない」とばかりに、大食、大量飲酒をするのは大間違い。徐々にでも食べ方を変えていかなければ、エネルギーの摂取過多でメタボリックシンドロームや糖尿病、脳・心筋梗塞などのほか、将来的に認知症や寝たきりのリスクが高くなってしまいます。
不思議なことですが、現代の医療は、65歳までは食事制限を、75歳を過ぎたら食べることをすすめられることが多くあります。65歳まではメタボリックシンドロームや糖尿病、脳・心筋梗塞対策が、75歳からは寝たきり防止対策が優先されるからです。これには大きな矛盾があります。
老化は突然起こるものではありません。徐々に進んでいくものですから、その対策も徐々に行う必要があるのです。
30代から始めたい栄養アセットマネジメント
若い頃と変わりなく食べていたら太り過ぎに。一念発起でダイエットを始め「もう3kgやせたからいいだろう」とやめてしまい気づいたらリバウンド。ダイエット前の体重より太っていました。というのはよくあること。ダイエット期間に筋肉も落ち、代謝量も減ってしまっているので、無理はありません。
30代から上手に食事をコントロールする方法をご紹介します。カロリーの多いやめられないものや食習慣を5つあげてみましょう。たとえば、白米、お菓子、お酒、ジュースなど甘い飲み物、夜食など。この中で、2つやめられるものを選んでください。そして、残ったものを1日に同時に摂らないというルールを立てて下さい。白米もお酒もやめることはできないけれど、「今日は休肝日にしてお酒をやめてご飯を食べよう」とか、「お酒が飲みたいから今日はおかずだけにしよう」とか。全部やめてしまうのではなく、上手な摂り方でコントロールするのです。
また、食生活を見直すに当たって、参考となるのがWHOが推奨している「5つの食事のヒント」です。
(1)バランスのとれた食事を心がける
穀類、肉類、野菜類、豆類、果物などまんべんなく摂ります。特に日本人はカルシ
ウムや鉄、マグネシウム、ビタミン、食物繊維の不足が目立つので意識して摂りた
いものです。
(2)塩分を減らす
1日の塩分摂取量の目安は男性7.5g未満、女性6.5g未満(高血圧・腎臓病の人は
6g未満)とされています。塩分を含有している調味料は、塩や味噌、しょう油ばか
りではないので、注意したいものです。
(3)脂肪の摂り方に注意する
マーガリンやドーナツなど、トランス脂肪酸は肥満、心臓病、脳卒中のリスクを高
め、ラードやバターなどの飽和脂肪酸は動脈硬化を促進するので注意が必要です。
一方で、魚や植物油に含まれる不飽和脂肪酸は、血圧を下げる、悪玉コレステロー
ルを下げるなどの効果がありますので、積極的に摂りたい食品です。
(4)糖質を摂り過ぎない
糖質を摂り過ぎると血糖値が上がり、糖尿病につながる恐れがあります。加工食品
にも含まれているので注意が必要です。
(5)アルコールに注意する
1日あたり、ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合、缶チューハイは1本
(350ml、アルコール7%)、ワインは軽く1杯半(アルコール12%)が適量です。
(厚生労働省「健康21」より)
1958年生まれ。1985年東京慈恵会医科大学医学部卒業。国立病院医療センターで内科研修後、東京慈恵会医科大学第二内科、虎の門病院腎センター勤務を経て、東京慈恵会医科大学内科学講座(腎臓・高血圧内科)講師、准教授、教授。2016年、大学病院として日本初の「行動変容外来」を開設、診療医長に。2019年には寝たきりのリスクを減らす新型人間ドック「ライフデザインドック」を慈恵医大晴海トリトンクリニックにてスタートさせた。日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本腎臓学会認定専門医、日本透析医学会指導医。主な研究分野は、慢性腎臓病の進展制御と合併症研究、Ca制御機構に関する研究、血管石灰化研究、生活習慣病行動変容。2021年から東京慈恵会医科大学 大学院 健康科学教授。
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
-
脂肪肝の原因、種類、放置リスク 酒以外でも?完治する?NASHとは?
脂肪肝
-
病院食とは?医学的な効果あり?「味が悪い」は改善しつつある?差し入れの考え方も解説
その他
-
妊娠初期の食べ物の可否と体重の目安、食事、外食、食欲の考え方 おすすめの食品から食べてはいけない物まで解説
妊娠初期(1~4カ月)の症状
-
食べる量を減らすのではなく増やす?栄養の専門家が“目からウロコ”のアドバイス
食べ物
健康・予防のお役立ち情報
-
コレステロールを下げる食事療法 ほとんどの人が知らない「プリティキンダイエット」とは
健康・予防のお役立ち情報
食べ物
-
医師に聞く「体に良い習慣」~生活習慣病でも、健康に長生きするために
健康・予防のお役立ち情報
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。