健康維持、寝たきり防止におすすめの「ウォーキングとスクワット」

  • 作成:2022/04/24

人生100年時代を生き抜くためには、健康を“資産(アセット)”と捉え、自分で資産管理(アセットマネジメント)していく必要があります。しかし、“健康を管理する”と一口に言っても、一体何を管理すればいいのでしょうか。そこで、今回は“運動のアセットマネジメント”について、行動変容外来で診療を行う横山啓太郎先生に解説いただきました。

この記事の目安時間は3分です

健康維持、寝たきり防止におすすめの「ウォーキングとスクワット」

現代人は全世界的に運動不足?

WHOは、世界の14億人が運動不足で、糖尿病、心血管疾患、がん、認知症などの危険性が高まっているという調査結果を発表。日本では、3人に1人以上が運動不足と言われています。WHOは2018年6月に、「運動推進グローバル行動計画」を立ち上げました。それほど現代人の運動不足は健康に大きな影を落としているのです。

しかし、このような目標を掲げても、運動習慣を身につけるのは簡単なことではありません。運動は個人にゆだねられるからです。つまり自分で動かなければ健康アセット(資産)のひとつは手に入らないということなのです。

ウォーキング1日1万歩 これで健康になる?

それではどのような運動をしたらいいのでしょう。様々なところで、ウォーキングが推奨されています。ウォーキングは、お金もかからず、いつでも手軽に始められ、自分のペースでできるのが最大のメリットです。ウォーキングについては、毎日「1万歩を目標に」ということも言われてきましたが、歩くだけで寝たきりになるリスクは減らせるのでしょうか?

ハーバード大学の研究グループによると、1日4400歩くらい歩く人と2700歩くらいの人を比べたところ、前者のほうが死亡リスクは41%低いという報告がありました。
つまり、頑張って1万歩を目指して途中でやめる結果になるより、日常生活の中で最低4000歩程度を続けたほうが、それなりに効果があるというわけです。1日4000歩なら、続けるという意識がなくても、普通の通勤・通学や買い物などで無理なく達成できる歩数です。もちろん、それ以上歩けるのならそれもいいでしょう。

ただし、普通に歩いていても筋肉が鍛えられるわけではなく、心肺機能も上がらないので注意が必要です。背筋を伸ばし、やや大きい歩幅で、早歩き気味に歩くのが効果的的な歩き方です。

健康維持、寝たきり防止にはスクワットがおすすめ

WHOが推奨している運動は、「1週間あたり150分以上の中等度の運動または、75分以上の高強度の運動」、「体幹に近いところの筋肉群のトレーニングを週2回以上行う」こと。中等度というのは、軽いジョギングなど少し息が弾むくらいの運動で、高強度は、息が上がるほどの運動です。日本人で通勤している人は1日4000歩以上歩いている人が多いと思いますが、中等度以上の運動は意識しなければ習慣になっていないことが多いと思います。

運動をする上でのポイントは、筋肉をつけることと心肺機能を上げることです。そこで、ウォーキング(早歩き)のほかにスクワットがおすすめです。というのも、大きな筋肉は大腿部にあるため、ここの筋肉を鍛えることが最も有効なのです。

1日50回から始めて、徐々に回数を増やしていくといいでしょう。最終的には300回が推奨されています。ただ、いきなりスクワット50回と聞くとそれだけで腰が引けてしまうかもしれませんね。そこで、10回1セットで1日数回行うという方法でもかまいません。

週に150分程度のウォーキング(早歩き)とスクワットを併用して行うのが理想的です。1日に換算すると20分程度になります。このくらいの時間なら何とか長続きできる範囲ではないでしょうか。

大腿部と体幹の筋肉が鍛えられるスクワット

健康維持、寝たきり防止におすすめの「ウォーキングとスクワット」

イラスト:笹山敦子

(1)足を肩幅と同じか、少し広げて立ち、つま先を15度くらい外側に向ける。
   腕は、手のひらを後頭部で組むか、体の前に突き出す。
   おなかとお尻を意識し、背筋は伸ばす。
(2)息を吸いながら、お尻をうしろに突き出すイメージで上体を下ろしていく。
<注意ポイント>
・ひざはつま先より前に出ないように注意する。
・上体を下ろす時に背中を丸めない。筋肉が鍛えられないばかりでなく、ひざ痛の原因に。
・頭からお尻までは一直線に。鏡などで確認するとよい。
(3)息を吐きながらゆっくりと元の姿勢に戻る。(1)に戻ったら、再びおなかとお尻を
   引き締め、姿勢を正して繰り返す。

横山啓太郎

横山啓太郎

1958年生まれ。1985年東京慈恵会医科大学医学部卒業。国立病院医療センターで内科研修後、東京慈恵会医科大学第二内科、虎の門病院腎センター勤務を経て、東京慈恵会医科大学内科学講座(腎臓・高血圧内科)講師、准教授、教授。2016年、大学病院として日本初の「行動変容外来」を開設、診療医長に。2019年には寝たきりのリスクを減らす新型人間ドック「ライフデザインドック」を慈恵医大晴海トリトンクリニックにてスタートさせた。日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本腎臓学会認定専門医、日本透析医学会指導医。主な研究分野は、慢性腎臓病の進展制御と合併症研究、Ca制御機構に関する研究、血管石灰化研究、生活習慣病行動変容。2021年から東京慈恵会医科大学 大学院 健康科学教授。

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