妊娠6週目。職場で強いストレスを受け、おなかの赤ちゃんが心配…
- 作成:2022/03/01
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、職場でのストレスが強く、おなかの赤ちゃんが心配という女性からのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
妊娠6週目です。今は解決しましたが、先日職場で強いストレスを2日間受けました。おなかの子に影響はありますか? ネットで検索してもいい結果が出てこないので、すごく不安になって、それがまたストレスになってます。ストレスを受けてもちゃんと元気な子が産まれた話があれば聞きたいです。(30代・女性)
医師の回答
万が一のことがあっても、母親のせいではない
ご質問ありがとうございます。
妊娠初期でただでさえご不安が強い中、大きなストレスを受ける事態となり大変でしたね。現時点でストレス因が解消されていて何よりでした。
どのような内容のストレスであったのかはわかりませんが、今現在、出血や腹痛といった明らかな体調変化がなければほぼ心配はいらないでしょう。
一般的なお話として、妊娠初期に万が一赤ちゃんが還って行ってしまっても、お母さんのせいではなく、赤ちゃんの遺伝子に何らかの問題があり、今はタイミングでなかったということが多いです。
赤ちゃん自身の強さを信じるとともに、楽しいこと、好きなことに意識を向けるようになさってください。
女性医師の妊娠中、「気持ち悪くて大変!」と明るく発信
ストレスを受けても元気な子が生まれたという一例として、私自身の二度の妊娠・出産を振り返ってみようかと思います。第一子出産は学生時代、医師国家試験直前の卒業試験真っ只中。第二子出産は研修医2年目でした。
学生時代は国家試験に受からないと医師になれないので必死でした。第二子妊娠発覚時は、救命救急科での研修中であったこともあり、眠れない夜間の救急外来対応、暴れる方や急変時の対応、レントゲン撮影などの被ばくリスク等々、精神的にも肉体的にも満遍なくストレスに晒されていたと思います。
私の場合は、幸いにして、うっかり妊婦健診を忘れて叱られたくらいで、2人とも無事に産まれてすくすくと育っております。もちろん、同じように勤務していた同僚の中には、切迫早産となって自宅安静をせざるを得なかったような人もいますので、あくまで一例としておとどめください。
当時何が良かったのか。今にして思うと、大変さやつらいという気持ちを胸中にとどめるのではなく、「気持ち悪くて大変なんですよ! 吐きすぎて水が甘く感じました!」「休みがなさ過ぎて体がきついです。ちょっと休憩させてください!」など明るく発信していたことかなと思います。
ストレスを乗り越えた自分を褒めることが大切
誰しも不安になると、段々と「誰にも分かってもらえない」「つらいのは自分だけだ」といったマイナスの考え方に陥ってしまいます。
妊娠中に限らず、たとえば寝不足でつらかったり、頭痛で集中できなかったり、歯の痛みのせいで何も食べられなかったり、様々な困りごとに晒される経験はあったかと思います。そんな中でも、十分に対応して生きてこられたのがご自身です。
生活をする上で、ストレスと無縁で生きていくことは不可能です。
ストレスがかかること自体は必ずしも悪いわけではなく、ある程度の緊張は、モチベーションの高さにもつなげることができます。ストレスがあったことを悔やむのではなく、それを乗り切れたご自身を褒め、是非ご褒美タイムを設けてください!
コロナ禍で外出にも気を遣う日々が続きますが、相談者さんも赤ちゃんも、健やかに過ごせることを心より祈っております。
赤ちゃんが生まれてきてからですと、パートナーとゆっくりデートに出かけたり、外食をしたり、イルミネーションを見に行くといったことも難しくなります。
貴重な妊婦生活を楽しんでくださいね。
林 安奈(はやし・あんな)
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷 パートナー医師/精神科医・産業医
東京女子医科大学医学部医学科卒業。東京女子医科大学病院にて臨床初期研修修了後、東京女子医科大学精神医学講座に所属し、同大学の緩和ケアチームや吉祥寺病院等で精神科医として研鑽を積みつつ、医学博士号取得。現在は多くの企業で産業医としても活動している。
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