腎硬化症の原因、症状、治療、再発可能性、予防 2種類あり?診療科は?

  • 作成:2016/08/25

「腎硬化症」とは、高血圧が原因となって、腎臓の血管がどんどん硬くなるなどして、腎臓の機能に影響が出る病気です。進行スピードによって2種類にわけられ、命の危険に至る可能性もあります。症状や治療などを含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

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腎硬化症とはどんな病気?

腎硬化症の原因と特徴

「腎硬化症(じんこうかしょう)」とは、高血圧によって腎臓の働きが悪くなってしまう病気のことを言います。高血圧の状態が長く続くと、腎臓の血管がどんどんと固く、細くなり、いわゆる「動脈硬化」が進みます。腎臓は血管でできている臓器なので、動脈硬化が進むと最終的には腎臓そのものも固くなり、腎機能が低下します。腎機能が低下すると、尿の量が少なくなるだけでなく、体の中の有害な物質も排出できなくなります。

腎硬化症には、病気の進行が遅い「良性腎硬化症(りょうせいじんこうかしょう)」と、急激に悪化していってしまう「悪性腎硬化症(あくせいじんこうかしょう)」があります。 良性腎硬化症は、比較的軽い高血圧が続くことでゆっくりと腎臓の機能が低下していきますが、悪性腎硬化症の場合、「悪性高血圧症(あくせいこうけつあつしょう)」と呼ばれる、とても重い高血圧に伴って、急激に腎臓が悪くなっていってしまうのです。

腎硬化症の症状

良性腎硬化症では、肩こり、めまい、動悸などの自覚症状が現れることもありますが、症状がないまま進行して、尿検査で軽度の蛋白尿(たんぱくにょう)がでたり、血液検査で「クレアチニン」という物質がとても増えている状態になって、はじめて発見されるようなこともあります。「良性」とは言うものの、最終的には末期の腎不全(じんふぜん、腎臓が機能しない状態)につながったり、脳卒中(のうそっちゅう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)が一緒に発生したりする可能性が高いともいわれています。

悪性腎硬化症では、激しい頭痛、意識障害、視力障害、心不全などがあらわれることがあり、急激に血圧が上がることで、腎臓の機能も急激に悪化していってしまいます。検査では、高度の蛋白尿と腎機能の低下、腎機能障害に伴う貧血などがみられ、最終的には「尿毒症(にょうどくしょう)」という、本来尿として排出しなければならない老廃物が体に溜まってしまっている状態となって、命の危険も出てきます。

腎硬化症の診療科

腎硬化症を疑ったときは、まず近くのかかりつけ医を受診し、相談してみましょう。かかりつけ医がいない場合は内科、腎臓内科、循環器内科などの受診を検討してみましょう。

腎硬化症の治療

腎硬化症の治療では、まず何よりも血圧の管理が重要です。高血圧によって腎硬化症が進みはじめていても、早いうちに血圧を下げれば進行を食い止めることができます。

高血圧の治療では、減塩を含む食事療法、肥満傾向のある場合はエネルギー制限(カロリー制限)や運動療法などを行って、血圧を下げることを目指します。 それでも血圧が下がらない場合や、急激な高血圧が生じている場合は、薬を使って血圧を下げることになります。内服(飲むタイプ)の降圧薬を用いるのが普通ですが、時によっては注射薬を用いることもあります。

腎硬化症が進んでしまって、腎臓の機能がすでに低下しすぎてしまっている場合、「人工透析(じんこうとうせき)」を行うことになります。人工透析とは、悪くなってしまった腎臓の代わりに、機械をつかうなどして血液中の老廃物をろ過する治療のことです。透析には自分のお腹の膜を使う「腹膜透析」と血管に2本の針を刺して機械を通すことによって血液を浄化する「血液透析」があります。日本では血液透析の割合が95%以上を占めます。また、腎臓の機能がそれ以上低下しないよう食事制限が行われることもあります。

腎硬化症の再発可能性と予防

腎硬化症は高血圧によって進行するため、一度治療を行って血圧が正常に戻っても、再び高血圧になってしまえば再発してしまう可能性が高くなります。逆に言えば、高血圧にならないようにしていれば、腎硬化症を予防できる可能性があります。

一度腎臓の機能が失われると、元には戻りません。腎硬化症が進行して人工透析が必要な段階まで来てしまうと、腎移植等をしない限りは二度と元には戻らないので、しっかりと血圧を管理して病気を予防することが大切なのです。塩分過多、肥満、運動不足、アルコール、タバコなどは高血圧になってしまう可能性を高めることがわかっているので十分注意しましょう。また、家で毎日血圧を測ったり、定期的に検診を受けたりして自分の体の状態を把握しておくことも有効です。

腎硬化症についてご紹介しました。血圧の高さに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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