うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟―「分野によっては誰でもスーパーマン」を自覚しないと。
- 作成:2024/04/24
こんにちは。外科医ちっちです。うちの3人の子どもは、全員が自閉スペクトラム症の診断を受けており、いくつかの困りごとを抱えています。一緒に生活するうえで、「こんな発想でこんなことをしてしまうのか」と驚かされることもあれば、「こうとしか考えられないのか」と辛い思いをすることもあります。この連載では、軽度の発達障害のわが子の日常や、子育ての様子を徒然なるままに綴ります。世の中にはこんな「変わっている子」「変わっている人」もいることを、いろいろな方に広く知ってもらい、普段の生活に役立てていただきたいです。今日は、診断・立場を問わず大事だと思う「スーパーマンだと自覚する必要性」についての記事です。
この記事の目安時間は3分です
「できること・できないこと」は人によって違う
どんな凹の能力の人でも、日常生活の中ではその人しかできないことがある。
これは「才能」の話ではなくて、たとえば身だしなみや、自分自身の気持ちの理解に関しては、そもそも周りの人ではできない・把握しようがない部分があるから。
親の立場でも同じ。子どもの得意・不得意の把握や、受け入れられやすいアプローチに関しては“世界一”になりやすい。
こういうことに関して、「自分はスーパーマンであること=他の人は同じようにはできない、全く同じ思考・質で代わってやってもらうこともできない」を自覚しておかないといけない。
多分、字で見ると『当然』と思う人が多いと思うのだけれど、実生活だと全く理解できていない、気付きすらしない様子を見ることが少なくない。
ついつい、自分でもできるのだからとか、口頭で伝えているのだからと思いがちだけれど、できることとできないことの違いはどんな立場・能力の人にもある。
逆も言えて、自分ができないことを他人が簡単にこなせることもある。こちらは勘違いされることは少なく、むしろ信じすぎの人が多い。
ものごとをうまく進めるための大前提
どちらも単純に事実なので、他人と話す時に意識しておかないと噛み合わなくなる。
「他人=自分とはできるできない、得意不得意が違う人」であって、
親子だろうと夫婦だろうと、教師や支援者と保護者であろうと、だれかとコンビでなるべく最善の結果を出すことを求められる環境では、一度この前提を双方で確認してから探っていくのが1番上手くいきやすい。
家族全員が「やりたくない・苦手」なことはどうする?
「何ができて、何ができないのかは人によって違う」を前提に、苦手なことが目立つ子どもとの関りは語られることが多い。しかし、それは診断にかかわらず、どんな人にも言えること。時に、生活を成り立たせるために、誰かが無理をする構造になってしまうことがあって、そうなるとその人は他の人にも無理を強要するようになって、崩壊してしまうことがある。
なので診断を問わず普段から意識すべきことであって、親が自分や家族への労力分配について考える時も、子どもの当事者が周囲について考える時も必要な考えだと思っています。
ただ、支援者はともかく、家族だと「全員がやりたくない・苦手」なことがあるとどうしようもないから、「全体を減らす=生活・子育ての省略・外注」を一部でいいから簡単にできるように色々試してみるのも大事。
外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。著書『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』(SBクリエイティブ)が2024年9月発刊予定。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟」
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる」
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti
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