健康診断結果はここをチェック! CKDを見逃さないためのポイント
- 作成:2024/06/12
腎臓は、悪くなっても初期は症状がほとんどなく、症状に気づいた時には病気が進行しているケースが少なくありません。腎臓の異常に早期に気づくためには、健康診断の結果に注目することが重要です。本記事では「腎臓に関する健康診断結果の見方」について紹介します。
この記事の目安時間は6分です
【監修】埼玉医科大学 腎臓内科 教授 岡田 浩一 先生
【提供】日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社・日本イーライリリー株式会社
<目次>
健康診断結果で注目すべき項目
健康診断の結果には腎機能に関する項目がいろいろありますが、その中で特に重要なのが、血液検査でわかる「eGFR」と、尿検査でわかる「尿蛋白」の2つです。腎機能の状態は主にこの2つの項目で判断され、これらの項目の異常が一定期間続くと、慢性腎臓病(CKD)である可能性が高まります。
本記事では、これらをどう読み解き、どのような場合に受診すべきかをご紹介します。
腎機能を表す指標:eGFR
eGFR(推算糸球体濾過量)は腎機能を表す指標です。
糸球体濾過量(GFR)は、腎臓の糸球体が1分間にどれくらいの血液をろ過して尿を作れるか、つまり腎臓の機能がどれくらいあるかを示す数値ですが、これを直接測定することは困難です。そのため、年齢、性別、血清クレアチニン値からGFRを推算するeGFRが用いられています。
中には、eGFRが健康診断結果に記載されていない方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、日本腎臓内科学会のホームページなどで、年齢、性別、クレアチニン値を入力するとeGFRを算出することができます。
※ 日本腎臓学会「腎機能測定ツール」
【数値の見方】
eGFRが60未満の状態が3ヵ月以上続く場合、慢性腎臓病(CKD)と診断されます。
なお、CKDの重症度は、eGFRの値と、尿検査の結果を用いて評価します。
腎機能の低下速度に関連:尿蛋白
尿蛋白は尿中に含まれるたんぱく質のことです。健康な人でもごく少量のたんぱく質が尿中にみられることがありますが、尿中に一定の量以上のたんぱく質(特に血液由来のアルブミン)が含まれていると、腎臓に異常がある可能性が高いと考えられます。
尿蛋白が出ている人は、腎機能(eGFR)が正常な方でも今後下がる可能性が高く、たくさん出ているほど、腎機能低下速度が速いことがわかっています。
【数値の見方】
尿蛋白は、健康診断結果では数字ではなく「+」や「-」といった表記をされています。
「-」は、15mg/dL未満で、特段の対応は必要ないと考えられます。
「1+」は、30mg/dL以上で、CKDが疑われるため、健康診断結果で「1+」となっていれば、かかりつけ医に相談するか、できれば腎臓内科専門医を受診することをおすすめします。なお、たんぱく量が多くなるに連れて「2+」「3+」などと記載されます。
「±」は、15mg/dL~29mg/dLの間で、ほぼ正常ですが、経過観察が必要な状態なので、かかりつけ医に相談することをおすすめします。なお、同時に血尿も「+」の場合はCKDが疑われるので腎臓内科専門医の受診をおすすめします。
おわりに
CKDでは、初期には症状がほとんどなく、気づいた時には病気が進行しているというケースが少なくありません。
そのため、健康診断の結果から、腎機能の低下兆候を知ることが大切になります。ぜひ、ご自身の健康診断結果を見直していただければと思います。
2023年12月作成
PP-JAR-JP-2498
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