【体験談】「自覚症状がなくても受診してよかった…」20年以上たつ今も腎機能を保持

  • 作成:2024/06/26

本記事では、職場健診を機に、腎機能の低下が見つかって以来、薬物治療と食事制限を20年以上も続けている、50代女性のGさんの体験談をご紹介します。Gさんは頻尿や塩分制限、たんぱく質制限はあるものの、一定の腎機能は維持できており、「若いからといって油断せず、すぐに治療を始めたからこそ」と語ります。

この記事の目安時間は6分です

【体験談】「自覚症状がなくても受診してよかった…」20年以上たつ今も腎機能を保持

診断された経緯

2001年11月に職場健診で血尿とたんぱく尿がわかりました。当時29歳、それまで腎臓の問題はまったくなく、自覚症状もありませんでした。

かかりつけ医の紹介で大学病院の内科を受診すると、腎臓を保護し、脂質を低下させる作用のあるEPA製剤と、ビタミンE製剤が処方されました。それでも、だんだん腎機能は落ちていったようで、体がむくみ、尿量が少なくなって、色も濃くなり、歩行中に気持ちが悪くなるなどの症状が現れました。別の大学病院の腎臓内科へ転院し、「慢性腎炎でしょう」と診断されました。まだCKDという名称のない時代でした。

CKDになって困ったこと

私にとって何より不便なのが、腎機能が落ちたことによる頻尿です。夜は確実に2回以上起きますし、昼間もトイレを気にしながら行動しています。外食をすると、塩辛くてのどが渇き水分を多くとるため、余計にトイレが近くなるので困りますね。

また、腎臓を守るための薬物治療と並行して、塩分やたんぱく質の制限もしています。定期的に病院で畜尿検査をして、1日に摂取した塩分やたんぱく質の量を確認し、医師から「もっと減らしたほうがいい」とか「このくらいで大丈夫」などと助言をもらい、自分で食事を調整しています。

塩分については「1日6g以内」が基本です。揚げ物を食べるときはソースをかけず、ラーメンの汁はもちろん残します。夜中にのどが乾いて目が覚めたら塩分とりすぎのサイン。翌日はより薄味を心がけます。お惣菜や加工食品は必ず食品表示をよく見て塩分やたんぱく質量を把握し、制限内に収まるように計算しています。

注意が必要なのは夏場です。汗をかくので、塩分を控えすぎると低ナトリウム血症になる危険性があります。医師から「夏は7~8gまで塩分をとってもいい」と言われ、その通りに調整しています。塩分はとりすぎも、足りなすぎもダメなんですよね。
私はもともと管理栄養士なので、こうした調整を自分でできていますが、一般の方だと苦労されるかもしれません。

診断後の治療

大学病院の腎臓内科に転院してからしばらくは、尿たんぱくを減らす作用のある抗狭心症薬や、腎保護作用のある降圧剤(ARB阻害薬、ACE阻害剤)を使用していました。
ただ、診断から5年がたった頃、薬の副作用で咳が止まらなくなり、いったんすべての薬を中止。その影響で低たんぱく血症になり、尿量が減って体がむくみ、嘔吐に見舞われました。

なんとか回復したあと、脂質異常症と高血圧症がわかったため、EPA製剤と降圧剤(ARB阻害薬)、利尿薬を使いはじめました。数年が経過して腎生検を受けると、腎機能はかなり落ちていました。血圧が高いと腎障害が起こりますから、現在はARB、MR拮抗薬、β遮断薬の3剤で血圧をコントロールして、腎臓を守っています。

治療開始前の人に伝えたいこと

これまでの経過の中で、たまに尿の泡立ちや色が濃すぎること、足のむくみが気になりました。そうしたときに病院へいくと、やはり腎機能が悪くなっていました。こうした自分の経験から、異変に気づいたらすぐに医師に相談することが大切だと思います。

腎炎の診断を受けてからすでに20年以上たちましたが、幸いなことに、生活習慣を管理しながら薬を使用することで、今は腎機能を維持できています。最初に健診で異常が見つかったときはまだ20代でしたが、若いからといって油断せず、すぐに治療を始めたからこそ、今日の自分があるのだと思います。

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