冷房が効た部屋で汗が滴り落ち、仕事ではまさかのミスが続出
- 作成:2025/01/17
ホットフラッシュや気分の落ち込みなど、さまざまな症状が現れる更年期障害。女性ホルモンの低下が原因であるだけに、自分が「更年期」であることに戸惑いや抵抗を感じる人もいます。でも、正しい治療を受けることで、つらい症状をおさえられている方もいらっしゃいます。Bさんは、思い切って婦人科を受診したことで、心も体もおだやかになり、仕事に打ち込むことができるようになったと語ります。
この記事の目安時間は6分です
診断前の症状
初めて「更年期障害かな?」と思ったのは、50歳の頃。ホットフラッシュがきっかけでした。冷房が効いているオフィスなのに、カーッと体がほてって、デスクの上に汗がしたたり落ちてくるんです。職場に着替えを持っていかなければならないほど大変でした。
これはおかしいと思ってネットで調べると更年期障害の情報が出てきて、きっと自分もそうなのだろうな…と思いました。それから半年ぐらいの間に、目まいや倦怠感、気持ちの落ち込みなどが現れて、まるで坂道を転げ落ちるように体調が悪くなっていきました。夜は寝付きが悪く、やっと眠っても途中で覚醒してしまって、朝起きられないことも続きました。
そんなある日、決定的なできごとが起こりました。仕事で客先訪問の約束をしていたのに、すっかり忘れてしまい、先方から電話を受けるまで気づかなかったのです。そんなことは一度もなかったのでショックでしたね。今思うと更年期障害による健忘だったのでしょう。そのほかにも、仕事の予定を書いたメモを紛失してしまうなど、明らかに物忘れが増えていて、自己嫌悪におちいりました。
頭の中に霧がかかったようになったのもつらかったですね。考えごとをしていても考えがまとまらず、ボーッとしてしまうのです。それを理由に会社を休むわけにもいかないし、仕事はたまっていくばかり。いっそ消えてしまいたいとさえ思いました。
診断後の治療
精神的に参って会社の産業医に相談すると、業務負担を減らすこととと、婦人科を受診するようアドバイスされました。かかりつけの婦人科へいって血液検査を受けた結果、びっくりするくらい女性ホルモンが低下していて、医師から「更年期障害ですね」と診断されました。
医師からは、漢方薬で様子を見る方法もあると言われましたが、症状が強く出ているので、ホルモン補充療法をすすめられました。当時はとにかく体調を治して元のように働きたかったので、ホルモン補充療法と漢方薬を併用することにしました。
ホルモン補充療法は、エストロゲン製剤の貼り薬を使い、1か月ぐらいたった頃から効果を感じました。精神的な焦りや不安、どん底に落ちているような気分は楽になり、冷静に自分の状況を考えられるようになりました。目まいや倦怠感、不眠も徐々によくなっていきました。
一番つらかった健忘と頭に霧がかかったような状態は、治療をはじめて2~3か月でスーッと霧が晴れるように解消しました。仕事に対するやる気も回復し、責任のあるポジションに移ることができました。自分でも「もう大丈夫」と思うことができ、50代半ばの今がここ10年のあいだで一番おだやかです。
ただ、ホットフラッシュは結構しつこく、ホルモン補充療法をはじめて5年がたっても、体が熱くなることはあります。でも、顎先から汗が垂れるようなことはなくなりました。
治療開始前の人へ
私は、自分の症状が更年期のせいかなと気づいても、すぐに婦人科を受診しようとは思えませんでした。「更年期障害」と診断されたら、「自分はもう女性ではなくなった」と認めなくてはならないような気がしていたからです。
でも、あのときに治療を始めていなかったら、症状がつらすぎて仕事は続けられなかったと思います。今では、もっと早く婦人科を受診していたら、こんなに苦しまなくてすんだかもしれない、とも思います。
知人からは、「ホルモン補充療法は乳がんのリスクが心配じゃない?」と言われますが、医師から丁寧な説明を受け、大きな不安はありません。確かに、乳がんのリスクはわずかに上がりますが、飲酒や喫煙など他の生活習慣によるがんのリスクに比べて大きな問題ではないと考えています。どうしても怖い話は一人歩きしがちなので、正確な情報を得て「正しく怖がる」ことが大切ではないでしょうか。現在、私は半年に1回血液検査を受けてモニタリングをしながら、ホルモン補充療法を続けています。
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